UFC84

ヴァンダレイ・シウバ復帰2戦目。前回チャック・リデルに善戦しながらも判定負け、今回は「KO勝ちしなかったらリストラ」と宣告されているらしい。その運命の相手はリデルに勝っているキース・ジャーディン。あのシウバが厳しい状況。思い入れのある選手だけに侘しい気持ちになってしまう。
ちょっと待った。「思い入れ」?なんだ思い入れって。たしかシウバはブラジル人。うちとは姻戚関係もなにもない。会ったこともない。お金振り込んでくれたこともない。なのになぜ「思い入れ」?桜庭はじめ、私と同民族である日本人ファイターがシウバにはことごとく打ち倒され血にまみれた。本当なら憎むべき敵ではないか?なのになぜ・・・・
おれはそのときイカズチに打たれたようなショックとともに凄まじい勢いで封印されていた記憶が奔流のように甦るのを感じた。
「そうだあれは・・・・・」

あれは1980年代なかばのことだったろうか。おれは中東のある国にいた。
そのワケは・・・・・・当時おれが一番信頼していた親友に言われた言葉だった。
「なあお前・・・・・死ねよう・・・・・・お願いだから水のないプールに飛び込んでぇ〜〜。砂漠でラクダに逃げられてェ〜〜〜。耳掻きしながら転べよ〜〜〜お願いだからさァ〜〜〜」
泣きながら懇願されたのだ。
そしておれはここに来た。砂漠でラクダに逃げられるために。