話題のアニメ映画『スカイ・クロラ』の内容を推理する。

設定はある程度もれ伝わってきてます。
『人類は不死を得、刺激を求めて敵も味方もいないフェイクの戦争ゲームに人々はうつつを抜かしている。その戦争に参加する若者たち。キルドレンと呼ばれる彼らは空で死ねば死ねる、という』
『この映画はラブストーリーです』
『声優は菊池凛子、タイアップソングは絢香
そして『妙にペッタリと額に貼りついた前髪』

これらの断片をつなぎあわせて考えてみよう。ストーリーはある程度わかってはいるものの、その先、エンディングまでを推理するのはポニョよりむずかしいかも。だがやるしかない。

まずタイトル「スカイ・クロラ」から連想するものは。誰でも「クロレラ」を連想する。おりしもサンクロレラカップのゴルフ大会が開かれている最中。
クロレラは私の記憶がたしかならある種の藻を光合成で繁殖させ食用に固形化させた滋味豊かな栄養食品だ。一昔前は水と光さえあれば培養できるっていうので夢の食品のような宣伝のされ方をしていたように思う。
クロレラで連想されるのはエヴァンゲリオン綾波レイ。培養液の中で育てられた中身(=ゴースト)のない筐体。スカイ・クロラキルドレン達はおそらく綾波と同類のクローンのような存在であろう。
さらにクロレラは70年代SF映画の名作「ソイレントグリーン」に登場するチップ状の食品を思い出させる。その原料はプランクトンというのは真っ赤なウソで、実は人の肉であったという衝撃の結末が、当時大変話題になった。
50年代生まれの押井守がこの映画に影響され「スカイ・クロレラ」に取り入れたとは容易に推測できる。もし取り入れていないと言うなら逆になぜそう言い切れるかを問いたいくらいだ。
ソイレントグリーンから私はさらにやはり同じ時期の名作映画「ジョニーは戦場へ行った」を連想した。戦場から帰ったジョニーは四肢と視覚、聴覚を失ったがその意識は自由に世界を駆け巡る・・・・・という映画だ。この映画もスカイクロレラに大きな影響を与えている。私は押井氏より10年ほど後に生を受けたが70年代に多感な時期を過ごした者として押井氏の感性のバックボーンが手にとるようにわかる。
こうして考えれば断片に繋がりが見えてくる。
キルドレンはある種の藻を繁殖させて造られた人口の生命体であり政府の陰謀で「死ぬために」戦争を行っている。その目的は死んだキルドレンの肉体を食料として利用するためだ。
それに気づいたキルドレンと政府との間に凄まじい戦闘が繰り広げられる。
戦闘員の数も火器の規模も、政府軍がはるかに上回っていたが戦闘のプロであるキルドレンがデス・スターの中核を破壊し奇跡的に勝利する。
だがさらに結末におどろくべき事実が。空中戦シーン、淡い恋、すべては傷痍軍人がベッドの上で見た夢であったのだ。
そして主人公の前髪はペッタリと額に貼りついている。まるである種の藻のように。
スカイクロレラはそんな映画です。